研究内容の分類

基礎研究:精密な流体計測に基づき、物理現象を理解します。

(1)風洞実験

風洞を使って乱流の速度変動の性質を調べています。速度変動は熱線風速計で計測し、乱流中の組織構造を抽出します。組織構造を操ることで、抵抗低減や熱輸送の促進など、エネルギーの有効利用に発展させます。いくつかの風洞を紹介しましょう。

チャネル風洞

境界層風洞

エッジトーン風洞

  • https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaib1979/72/724/72_724_3058/_article/-char/ja/

学外の共同研究で実験をおこなった風洞および大型施設:JR鉄道総研米原風洞、九州大学応用力学研究所、産総研大型円管装置、海洋技術研究所曳航水槽、KTH、メルボルン風洞

熱線風速計による速度の計測

ホーストンブリッジを使ってタングステンを加熱し、流体による冷却効果から流速を計測します。

(2)可視化計測法:可視化技術に基づく流動場計測

粒子画像速度計測法(Particle Image Velocimetory: PIV法)

流体内にトレーサー(数ミクロンの粒子)を流入させ、その粒子の運動を可視化し,速度を測定する最新の流体計測技術です。カメラ2台を使って平面内の速度3成分を計測します。

  • 富岳小迫誠弥 他, 日本機械学会論文集, Vol.87, No.893, 2021 https://www.jstage.jst.go.jp/article/transjsme/87/893/87_20-00255/_article/-char/ja S. Kosako, et al., Downstream flow field structure in voice prosthesis and its effect on sound generation around the esophageal wall, Physics of Fluids 35, 025114 (2023). https://doi.org/10.1063/5.0134627
  • 噴流の可視化画像(明るい色が流速の早い領域に対応)噴流の可視化画像(明るい色が流速の早い領域に対応)

Tomo-PIV, PTV

カメラ4台を使って、空間内の速度3成分を計測します。空間内での複雑な流動現象を理解することができます。
  • イメージ1
  • イメージ2
  • イメージ3
  • 3次元空間の可視化と微細渦構造 Kovid BHATT et al., Journal of Fluid Science and Technology, Vol.16, No.3, 2021, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfst/16/3/16_2021jfst0018/_article/-char/ja/

(3)数値実験

スーパーコンピュータを用いた乱流の計算:詳細な乱流の構造を探る 国内有数のスーパーコンピュータを利用して、大規模な数値実験をします。

「富岳」による世界最大Re数の壁乱流の計算

研究課題:壁面乱流場における高レイノルズ数極限への漸近挙動理論の実証(令和5年度)
  • 富岳© RIKENhttps://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/fugaku/

「不老」によるAI(機械学習)の複雑乱流場予測法の確立

研究課題:確率的予測法を用いた凍結乱流仮説における大規模構造の予測(令和6年度)
  • TypeI
  • TypeII
  • TypeIII
  • https://www.icts.nagoya-u.ac.jp/ja/sc/overview.html

「地球シミュレータ」による凍結乱流仮説の検証

研究課題:大気境界層を対象とした高レイノルズ数乱流における凍結乱流仮説の検証:壁面圧力の統計と大規模構造との関連(令和2年度)
  • https://www.jamstec.go.jp/es/jp/info/210301_es.htmlhttps://www.jamstec.go.jp/es/jp/info/210301_es.html

「NIFSプラズマシミュレータ雷神」による超流動乱流の量子渦可視化

研究課題:量子乱流場における渦構造の検出と空間構造の可視化(令和6年度)
  • https://news.mynavi.jp/article/20201124-1522225/ https://news.mynavi.jp/article/20201124-1522225/